そこで、dzenを使ったステータスバーをカスタマイズするための下準備だ。
xmonadとステータスバーの関係
xmonadには、xmonadの状態が変化した時、例えば、レイアウトが変わった、ワークスペースが変化した、フォーカスされているアプリケーションが変わった時などに、呼び出される関数がある。
何かのきっかけが起こると呼び出される関数は、俗に「フック」と呼ばれるが、これもそのひつとであり、xmonadでは、上のような状態変化が起こるとlogHookと呼ばれる関数が呼び出される。
このlogHookは、XConfig l型データの logHookの項目にあり、リファレンスで確認するとXConfigコンストラクタの中で logHook :: !(X ()) と定義され、「windows setが変更された時に実行されるアクション」とコメントされている。(ここで、X ()はIOアクションと同様で、何かを実行する副作用と、それから生成される結果の2つからなるXアクションと把握してOK)
xmonadでは、このフックを利用してステータスバーを作るのが一般的である。
そして、その原始的な仕組みは、
1.情報を表示するためのアプリケーションを起動しておく。
2.フックに現在の状況を表す文字列を表示する関数を設定する。
3.フックが呼び出されるたびに、アプリケーション上に情報が表示される。
この原始的な方法を実践してみるには以下の通り。
XMonad.Hooks.DynamicLogモジュールで定義されたもっとも基本的な表示を行うdynamicLogでlogHookを定義してみる。dynamicLogは情報の書き出し先が標準出力となっているので、これをdzenにパイプで繋ぐため、.xsessionや.xinitrcなどの、xmonadの起動のコマンドラインを
exec xmonad | dzen2
特に、logHookが情報を書き出す様子だけを試すには
exec xmonad >> xmonad.log
とかして、xmonadを起動した後、ターミナルから
tail -f xmonad.log
外部アプリとしてのdzen
dzenというアプリケーションは、そもそも、入力された情報を表示するだけのアプリケーションであり、ステータスバーに特化したアプリではない。YouTubeでのDzen2の紹介
http://www.youtube.com/watch?v=pkKFucEXIlA
X上でのちょっとした情報を表示するためのユティリティであり、ステータスバーのような帯状の表示だけでなく、実際にはウインドウ状の表示エリアを持っているので工夫次第でいろいろな表示の仕方が可能。
一方で、基本的にはテキストしか表示できないので、イメージや動的なグラフ等の表示は難しい。
そこで、dzenを使ったステータスバーというのは、xmonadからの情報を単なる一行の文字列として受け取り、それをこの1行幅のdzenで単純に表示している。なので、そこら辺で見かけるxmonadのスクリーンショットのステータスバーは派手さのない簡素な感じのものになっているのだと思う。
実際には、表示するためのXアプリと、それにデータを送るlogHookの連携でどんなステータスバーだって作ることはできる。(xmobarをはじめ、xmonad-log-appletなんていうのもある)
xmonadの内部情報とそれ以外の情報
このスクリーンショットで見るステータスバーは、実は二つの部分から出来ていたりする。
[home] : tall : s_term1
となっている左側の部分と、それ以外の右側の部分は、別々に起動されたdzen上で表示されている。
なぜ、そうなっているかというと、左側の部分がxmonadの状態をlogHookを使って表示している部分であり、右側の部分はconky(cpuやメモリの状態等を色々と調べるアプリ)を使って収集した情報を表示している部分となっているため。
つまり、理屈的には
xmonad | dzen
conky | dzen
のように起動されて使っている。
別々に起動していても、dzenの表示位置を適切に設定してあげれば一つのステータスバーに見える。
ちなみに、xmobarは、このcpu等のパソコンの状態を収集する機能を独自で持っていたりするので、その分、ステータスバーの設置がやや簡単(単純)になってる。
xmonad.hsの中で外部コマンドを実行する方法
しかし今度は、xmonad.hsの中から外部コマンドを呼び出す関数を使って起動してみる。
そして同時に、先の例では、シェル上でパイプを使ってストリームを繋げ、logHookからの文字列データをdzenに渡していたが、ここでは、XMonad.Util.RunモジュールにあるspawnPipe関数を使うことによって、haskell上でファイルハンドルを使ってdzenに文字列を渡す事が出来るようにする。
spawnPipe :: MonadIO m => String -> m Handle
型シグニチャは少し見たことがないものになっているが、main = doの中で使われる限り、IOアクションが戻り値となり、副作用はコマンドの実行、生成される結果は、そのアプリの入力用ハンドルであると見なしていい。
実際のxmonad.hsでは
...
import XMonad.Util.Run
main = do
h <- spawnPipe "dzen -hoge_option"
spawn "conky conf_file | dzen2 -hoge_option"
xmonad defaultConfig{...}
という感じになる。
h <- spawnPipe ... の構文は前に見た通り、IOアクションから、生成された結果のみ(ここではファイルハンドル)を取り出して、hという名前に拘束するもの。
そして、この入力用ハンドル「h」をlogHookで定義する関数の中に適切に設定することにより、xmonadから外部アプリの入力に直接文字列を渡すことが出来るようになる。
また、単なる外部コマンドの起動はXMonad.Coreモジュールにあるspawnコマンドが使えるので、上記の用に書けば、conkyによる情報収集のためのプロセスを別途起動することも出来る。
logHookに定義すべき関数
内部情報がアップデートされる度に呼び出されるlogHookに定義すべき関数として、XMonad.Hooks.DynamicLogモジュールには、dynamicLogWithPPが用意されている。dynamicLogWithPP は PPデータ型というものを引数にとるのだが、このデータ型が、書き出すデータの書式等を設定するための型である。(これは、xmonad関数に対するXConfig l型のようなもの。)
なので、logHookには、適当なPPデータ型の値を引数とするdynamicLogWithPPを定義してあげれば良い。
そして、PPデータ型の値にはXconfig l型の時のdefaultConfigと同様にデフォルト値が定義されており、その一つが「dzenPP」でdzen用の初期設定がされている。これを元にdefaultConfigの時と同様にレコード構文を使って好きな部分だけをカスタマイズしたPPデータ値を作ることが出来る。
そして、各デフォルト値の内容は、リファレンスからソースをみて確認できる。(リファレンスのページでは、型シグニチャの右側端にあるリンクからその項目のソースを見ることが出来て便利。)
dzenPPのソース
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