2013年9月8日日曜日

xmonadとHaskell(その5:IOアクション)

IOアクション

(その4)でみた通り、dzenやxmonadの戻り値の型は「IO(なんたら)型」だった。
これはIOアクションと呼ばれる。

IOアクションは、「アクション」というだけあって、「何かを実行するもの」を表している。と同時に(なんたら)の部分で結果を生成してくれたりする。

すなわち、IOアクションは2つの事を行う。
「副作用」を生じさせ、その副作用が「結果」を生成する。

これを、先の2つの関数で見てみると以下の通り。

xmonad関数の副作用は、xmonadウインドマネージャを実行する。
生成される結果は無い。

dzen関数の副作用は、パネルのdzenを起動する。
生成される結果は、dzen用の設定を追加したXConfig l型データ。

Haskellで 半沢直樹!

以下の基本的な入出力の関数はIOアクションを返すもので、haskellのhello worldプログラムなんかで使われるもの。

コンソールへの表示
putStrLn :: String -> IO ()

コンソールからの入力
getLine :: IO String

この2つの関数で半沢直樹してみる。


Haskellでスクリプトを実行したい場合はコンソールで
$ runghc io_hanzawa.hs

また、コンパイルして実行ファイルを作ることも出来る。
$ ghc --make io_hanzawa.hs
$ ./io_hanzawa


main、そしてdo

Haskellにおいて、IOアクションの実行は、mainという名前でのみ行われる。
(ただし、ghciを使って対話的環境は、そのまま実行される)

なので、単純に言えば、

main = putStrLn "hello world"

と、一つのIOアクションを定義づけることしかできないが、io_hanzawa.hsの様に、do構文を使うことで複数のIOアクションをひと纏めにして、mainに定義づけることが出来る。
(若しくは、その4みたいに「>>=」演算子で繋ぐ)

またHaskellの構文では、パイソンとかと同様にインデント(段落下げ)に意味があることに注意。do構文の及ぶ範囲もインデントで表されている。

Haskellのコードは、コピペした時にエラーが出たら、インデントもチェックしてみるべし。

IO(なんたら)のなんたらって何?

先に書いたようにIOアクションは実行すると2つの事を行う。
一つが「副作用」、もうひとつが「結果」の生成。

putStrLnの型シグニチャは

putStrLn :: String -> IO ()

であり、実際のコードでは

putStrLn "どれくらい怒ってますか?"

として、使ってみた。
ここでの「副作用」は、画面に

どれくらい怒ってますか?

と表示する事であり。
生成される「結果」は、型シグニチャに示されたIOの次にある()である。
()は見た目の通り空のカッコであり、何もないという結果を返してくれる。

何もない結果というのは分かりにくいので、次のgetLineを見てみる。
型シグニチャは
getLine :: IO String

であり、実際のコードでは

okorido <- getLine 

として、「<-」演算子を使っている。
「副作用」は、画面にカーソルが出てリターンキーを押すまでの文字列入力を受け付けること。
一方、生成される「結果」は、画面から入力された文字列である。型シグニチャにあるIOの後ろのStringは、この入力から生成された文字列を示している。

そして、「<-」は 、「結果」のみを名前に結びつける演算子である。

何を言っているかというと、
他の言語では、標準入力からのデータを受け取る関数の戻り値は「文字列」そのものであることが多いので、

okorido = getLine

って感じに書きたくなるが、これはダメだということ。
getLineは、IOアクションを返す関数であり、「結果」である「文字列」そのものを返す関数ではない。
上のイコールを使った式は、単に、getLineと同じことがokoridでも出来るように定義されるだけなのだ。

xmonad.hsをdo構文で

(その4)で見ていたxmonad.hsでは「=<<」演算子を使っていて、その意味はIOなんたら型から、なんたらのみを取り出して、他の関数の引数にするための演算子と説明した。
実は、この役割と同じで直接別の関数の引数にするのではなくて、名前に結びつけるのが「<-」演算子の役割。

というわけで、(その4)の「=<<」演算子を使ったxmonad.hsを

do構文を使って書き換えれば以下のようになる。


dzenのIOアクションの「副作用」は、dzen実行ファイルを実行し、画面にステータスバーの表示等を行う。そして、その「結果」は、引数として受け取ったdefaultConfigをベースとして、ステータスバーの表示に必要な加工を行った新しいXConfig l型のデータを生成する。

そして、この結果である、XConfig l型データをconfという名前にバインドし、そのconfを引数としてxmonadを呼び出す。

xmonadのIOアクションの「副作用」は、xmonadウインドマネージャの表示とか管理とかである。そして、結果は空っぽの()である。

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